ファティマちゃんは16歳の女の子です。1年ほど前に東京都から引っ越されてきたようで、1年前のちょうどこの時期にうちの病院に来てくれました。
うちの病院に来た時から心臓が悪く、都内の病院で循環器専門の病院にもかかったことがあり、大量の検査結果を持ってきたのが印象深かったです。「こんなにたくさんの数値を調べるんだね」と自分自身の診察と比べて圧倒的な差を感じた記憶があります。
以前勤めていた新潟市の病院の院長先生(今は元院長になっていますが)がよく「都内にいかなくても困らないように、治療を受けられるように」と高度な獣医療を積極的に取り入れていました。これは素晴らしいことですし、私自身も上越地区の方々に満足いただけるような治療ができるように日々研鑽していかなければならないと感じております。
というわけで、、、田舎の獣医師としては少なからず都内の獣医療にコンプレックスを感じているところがあり、ファティマちゃんが都内にいたときと変わらないように、困らないように診察していかなければと日々意識をしておりました。
ファティマちゃんは心臓病もあり、気管の病気もあるためか、少し動いたり興奮したりすると咳が止まらなくなってしまい、1日でたくさん検査しましょうということもするのが怖く、爪切りとかも状態をみて慎重に行なっていました。
今年の6月に心臓病からくる肺にお水が溜まる病気、肺水腫になってしまいました。肺水腫の治療はうまくいかないと亡くなってしまう子もいます。うちの病院でも今年肺水腫で亡くなった子は片手でおさまりきらないくらいです。ファティマちゃんもご高齢ですし、回復も厳しいだろうと思っていたのですが、奇跡的に治療反応もよく、6月の16歳の誕生日も迎えてくれて、今日まで頑張ってくれていました。
さてさて、そんなファティマちゃんですが、また都内に引っ越すとのことで、昨日写真を撮らせてもらいました。お別れは寂しいものですし、環境や病院が変わって体調大きく崩さないかなどうかな?というのも不安なものです。
でも引っ越しは仕方がないです。ファティマちゃんやファティマちゃんのご家族様、都内の次かかる獣医さんが困らないように紹介状を書いて、昨日お渡しさせていただきました。
新潟はこれから天気が悪い、暗い空の冬が始まります。対照的に都内はまるで異国じゃないかと思うくらいの晴天が続くと思います。空気が冷たく、乾燥しているので咳も出やすくなります。お部屋を加湿してもらって、1日でもながく元気で過ごしてくれるよう心から祈っております。
そしてまた上越市内に立ち寄ってもらう機会がありましたら、また顔を見られましたら幸いです。
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