top of page

ペコラちゃんはもうすぐ5歳のスタンダードプードルの女の子です。



これはちょうど1年前くらいに撮らせてもらった写真です。だいぶ緊張した面持ちです。



さて、


ペコラちゃんですが、1年ほど前に「アジソン病」と診断がつき、今は毎日アジソン病のお薬を飲んでもらっています。


アジソン病、、、果たしてどういう病気かというと、ごく簡単に言うと体で作られるステロイドホルモンがうまく作られなくなって、不都合が生じてしまいますよという病気です。(ほかの動物病院さんのホームページとかにわかりやすく説明が出ていると思います。)


私も獣医師になって10年経っています。そこまで頻度が多くないと言われているアジソン病でも、20症例以上は見てきています。


そして、アジソン病はけっこう警戒しながら診る病気です。というのも気づかないで長く時間が経ってしまうと命にかかわってくることがありますので。。。


診断には少しコツがあります。顕微鏡で血液を見ることです。


アジソン病だとたいがい、「食欲がなくなってきました」とか「下痢して、吐いてます」という主訴で来ることが多いです。


血液検査で電解質の異常とかがあればわかりやすいのですが、出ていないケースもまれにあります。その場合、血液を顕微鏡で覗いて、白血球のうちのリンパ球の増加がないかどうかを確認することがあります。(今機械で白血球を分類してくれるものもあります。)


通常、下痢をしていたりとか調子が悪いときはリンパ球が減っていることが多いです。しかし、アジソン病の場合は調子が悪くてもリンパ球が減ってなく、逆に増えているケースが多いのです。


ペコラちゃんを診るまでは「アジソン病の診断、楽勝だぜ」と思っていました。



しかし、残念ながらペコラちゃんの診断は苦戦してしまうのです。


昨年のお盆前に調子が悪いということで来て、血液検査をしたところ、「CRPの上昇」が認められました。そのときはアジソン病を疑うような電解質の異常、アルブミンの低下、血糖値の低下などなどが見られなかったのです。もちろんリンパ球が増えていることもありませんでした。


吐き気の注射をしてみてもやっぱり調子がでない、いろいろ調べてみても分からずステロイドの注射をうってみてもよくならず、おかしいということで再度血液をみたら電解質の異常が出てきていました。


いろいろあって、いろいろ調べたところアジソン病と診断がついたのが、調子が悪くなってしまって2週間後くらいでした。




診断に時間がかかってしまってごめんなさい。


アジソン病は一生涯付き合っていかないといけない病気なのでお薬はやめられませんが、ペコラちゃんは今、元気に過ごしております。(たまに同居犬と一緒にフードを食べるのをボイコットしますが。。。)



ちょっと言い訳と獣医さんとかにしかわからない話をしますが、


ペコラちゃんの場合、低血糖とか低アルブミンとかリンパ球の増加がなかったので、糖質コルチコイドの分泌があまり抑えられていなかったのだと思います。初診日は高カリウム血症がなかったのですが、その2-3日後にカリウムが上がってきました。カリウムの異常があったものの、アルブミンとか血糖値とかリンパ球には異常が出てこなかったので、鉱質コルチコイドの分泌のみが抑制されるタイプのアジソン病(選択的低アルドステロン症というらしいですが)だったのかな。。。と反省しております。


なかなか難しかったです。

 
 

Comments


bottom of page