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シュガーちゃんは13歳のトイプードルです。


8月の中旬に食欲が徐々になくなり、検査を行ったところ、胆嚢というところの内部にゼリー状の物質が溜まってしまう「胆嚢粘液嚢腫」というものになっていました。



胆嚢粘液嚢腫は症状を何も出さないこともあるのですが、胆嚢が破裂するリスクがあります。破裂すると胆嚢内部の物質がお腹の中で悪さをして、強い炎症を起こしてしまいます。


シュガーちゃんは、最初のうちは胆嚢が破裂している所見はなく、点滴を流してだんだん元気が出てきていたのですが、数日すると突然元気がなくなってしまいました。超音波検査でお腹のなかを見てみると腹水が少量溜まっていました。



腹水の顕微鏡の写真です。若干ぼやけてしまいましたが、粘液状の物質が腹水中にでてきていることがわかりました。またその他にも炎症細胞が多数出ていました。わんちゃんの腹水でゼリー状の物質が出てくると胆嚢破裂を疑わないといけません。その他の検査なども合わせて、シュガーちゃんは胆嚢破裂で急に具合が悪くなってしまったことが考えられました。


胆嚢が破裂してしまうと緊急で手術を要してきます。過去の私の経験ですが、胆嚢が破裂して数時間で亡くなったわんちゃんもいました。手術しなくても亡くなるリスクがあるのですが、術後に亡くなってしまう子も多く、胆嚢破裂を起こして手術した子の約20%が亡くなってしまうという報告もあります。


術後の合併症が高いのはわかっているのですが、飼い主様の承諾を得て、当院で手術させてもらいました。私の手術の経験数もあまり多くなく、本当は遠くの大きな病院を紹介したかったのですが、移動の最中により具合が悪くなる可能性などもありましたので思い切ってお腹を開けました。


お腹を開けると予想通り胆嚢が破れていて、胆嚢の内容物がお腹の中に漏れ出ていました。腹水も溜まっており術野があまりキレイな状態ではなかったのですが、なんとか破裂している胆嚢を摘出する手術を終えました。



術後、残念ながら腹膜炎が起こってしまい、吐き戻しが激しく、なかなか食事を取れない日々が1週間続きました。


体重が1kg減りましたが、1週間すぎると徐々にごはんを食べれるようになり、今日一度退院することになりました。



術後、腹膜炎の影響で消化管の動きが悪くなっていました。おさんぽすると消化管の動きが出てくれると言われているので、可能な限りたくさんおさんぽしました。



シュガーちゃんの手術をする前に獣医外科学会がオンラインで開催されていて、たまたま胆嚢疾患の術後合併症のコマがありました。術中の写真や動画などが多く出ていたので、それを参考にシュガーちゃんの手術を進めました。


たまたまでしたが、獣医外科学会のおかげでなんとかなりました。そしてなにより、シュガーちゃんが大変な手術と入院処置に耐えてくれて、がんばってくれたことが一番の要因です。本当にありがとうございます。


よかったです。








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